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機関誌「流通情報」バックナンバー

No.545 | Vol.52 No.2(2020年7月発行)

特集 流通視点でみる農業の未来

特集にあたって

折笠 俊輔
公益財団法人流通経済研究所 主席研究員(農業・地域振興担当)

農業構造の変化は日本のコメ生産にどのような影響をもたらすか

小針 美和
株式会社農林中金総合研究所 主任研究員

 

 本稿では、コメの品種選択と作付品種構成の関係を事例に、農業構造の変化と農業者の経営判断がマクロのコメ生産に与える影響に関する実証分析を試みた。実証分析の結果、①12年から17年の5年間で小規模農家の離農と担い手農業者への農地集積が進展したが、離農した農家の多くは主要品種を1つだけ栽培していた一方で、農地を引き受けた担い手農業者は作付品種数を増加させていること、②作付品種数は、機械・労働力の稼働率向上のための作期分散、多様化する販売への対応により、経営規模に応じて増加する傾向があること、③その結果、2017年の作付品種構成は2012年に比べて多様化したことが示された。

キーワード: 品種選択、経営判断、農業構造の変化、作期分散、販売戦略
農産物契約取引における成功要因の分析
―食品製造業者へのアンケート調査から―

石橋 敬介
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 

 近年、農産物の流通において、契約による取引が広がっている。本研究は、この契約取引について食品製造業者にアンケート調査を行い、その成功に関わる要因を分析するものである。例えば、契約が遵守されていることや、書面を交わして契約していることは、食品製造業者の満足度に関係している。また、品質面での満足度には生産者や集出荷団体との情報交換頻度が関わっていることや、大豆の定時・定量調達には中間流通業者を介した契約が効果的であることなどが示された。これらの結果は、生産者や集出荷団体、食品製造業者等が、その目的に合わせて契約内容を検討する際に有用なものである。

キーワード: 農産物流通、契約取引、満足度、スパース推定、エラスティックネット
北米における小麦の輸送手段の現状と日本における北米からの小麦輸入の展望

佐々木 舞香
公益財団法人流通経済研究所 研究員

 

 日本は穀物の多くを海外から輸入しているが、中でも北米の米国・カナダが主要な輸入国である。また、北米から輸入している穀物のうち小麦は、米国・カナダ両国ともに輸入割合が大きい。そこで本稿では小麦に焦点を当て、北米における輸送手段について輸送段階ごとにその詳細を確認し、北米の小麦輸送の現状とともに特徴を把握する。その上で、北米の小麦輸送に見られる傾向がもたらす影響を考察し、日本における北米からの小麦輸入を展望する。

キーワード: 北米、穀物、小麦、輸入、インターモーダル輸送
産地市場における農産物物流の課題と提言
-農産物の共同物流実証実験から-

吉間 めぐみ
公益財団法人流通経済研究所 主任研究員

 

 産地市場にて農産物の共同物流の実証実験を実施した結果、トラック台数を減らせることができ、コスト削減効果があることがわかった。ただし、コスト削減効果が発揮される条件として、配送総時間の減少と積載率の向上が求められることが判明した。そのうえで、今後、農産物における物流効率化を目指した共同物流を全国に拡大していくためには、①適切なマッチング、②情報共有、③資材の規格統一、④フレキシビリティの把握と共有が必要となる。

キーワード: 農産物の共同物流、産地市場、物流効率化、配送総時間、積載率向上

視点

コロナ禍のもとでの消費と流通

渡辺 達朗
公益財団法人流通経済研究所 理事/専修大学商学部長・教授

資料紹介

海外の流通&マーケティング

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